久留米絣(かすり)とは?200年の歴史と伝統、人気の商品をご紹介 | 福岡県の伝統的工芸品・久留米絣

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久留米絣(かすり)とは?200年の歴史と伝統、人気の商品をご紹介 | 福岡県の伝統的工芸品・久留米絣

2021/11/15

福岡県の伝統的工芸品「久留米絣(かすり)」は、江戸時代後期、現在の福岡県久留米市に生を受けた「井上伝(1788-1869年)」という12歳の少女によって発明された綿織物です。その後先人たちは工夫を重ね、現在へと受け継ぎながら200年以上経った今でも日本全国で愛され続けています。
広島・岡山の備後絣、愛媛の伊予絣と並んで「日本三大絣」に数えられる久留米絣は、1957年には国重要無形文化財に認定されました。


久留米絣の製造工程

糸の段階から染められ、模様が入った糸で柄を合わせながら織り上げていく久留米絣。
柄づくりから整反まで30もの工程があり、そのひとつひとつの工程に経験と技を必要とし、一反(長さ12m)が出来上がるまでに約2~3カ月を要します。職人たちの「丹念な手仕事」、「自然素材・木綿のもつ風合い」、素朴な中の「精巧な美しさ」は、200年を越える時の集積であり、高度な技術の成果によるものです。


括り

「括り(くくり)」とは、制作する柄にあわせて、経糸と緯糸それぞれの染めない部分を断続的に糸で縛り、防染することです。
括りの精度が反物の完成度を決めるといっても過言ではない重要な工程です。括りには職人が一つひとつ手作業で行う伝統的な「手括り」のほか、自動化された機械によって行われる「機械括り」もあります。


染色

久留米絣の染色は、伝統的な藍染めと、化学染料を用いた染色の大きく2種類に分かれます。
伝統的な藍染めの場合、原料となるスクモに、灰汁・貝汁・日本酒を加え、1~2週間かけて藍液を準備します。藍液に糸をつけ、固く絞り、たたくという作業を繰り返して、糸を染め上げていきます。
化学染料の場合、0.1g単位で細かく調合した染料に数時間つけ込み、多様な色を表現していきます。
染め終わった後、括った糸を解くと白い部分が現れ、糸の模様が出来上がります。


手織りと機械織り

綿糸を先に染めてから織ることで、微妙なズレが生じ、久留米絣の特徴的なかすれ模様となり、プリントとは異なる柄の趣きや風合いが生まれます。
織りも、手織りと機械織りの大きく2種類に分かれます。
手織りの場合、ひとりで約2週間かけて1反(12m)の反物を織り上げます。
機械織りは効率よく生地を量産できるため、産業的な生産や旬の柄を素早く織り上げるのに適しています。


久留米絣の商品

伝統を守りつつ、時代の流れに合わせて変化を遂げてきた久留米絣。
昔ながらの着物だけではなく、ワンピース・もんぺ・スカート・チュニックなどの洋服や、バッグ・小物類など、現代の暮らしに合った商品となり親しまれています。



久留米絣をもっと知る

福岡県八女郡広川町では、久留米絣織元見学や着付け体験、クラフトツアーなどを随時開催しております。ぜひお気軽にご参加の上、久留米絣を手に取ってその魅力を感じてみてください。詳しくは「広川町観光協会」WEBをご確認ください。