北伊醤油

Since1897。糸島の風土が育む、北伊の醤油づくり

私たちの歴史は、明治30年（1897年）、福岡県糸島半島の地で始まりました。創業の地として選んだ糸島は、温暖な気候と豊かな自然に恵まれ、醤油造りに不可欠な良質な水が得られる土地でした。特に、仕込み水に用いる「船越山の伏流水」は、鉄分が少なくまろやかな軟水で、私たちの醤油の味の根幹を支え続けています。私たちはこの糸島の風土と共に歩み、地域に根差しながら、皆様に愛される醤油を造り続けることを誇りとしています。

時が育む、天然醸造の真髄。杉桶に息づく職人の技

北伊醤油の味は、昔ながらの「天然醸造」によって生み出されます。その工程は、厳選した丸大豆と小麦を蒸して煮る「蒸煮」から始まります。次に、職人が手作業で麹菌を均一に付着させる「麹蓋（こうじぶた）」の工程へ。そして、出来上がった麹を塩水と混ぜ、杉の木桶でじっくりと熟成させる「もろみの仕込み」へと続きます。この杉桶には、長年使い続けることで蔵独自の酵母菌や乳酸菌といった微生物が棲みついています。この目には見えない「蔵つき酵母」こそが、醤油に複雑で奥深い風味と、豊かな香りを与えてくれるのです。熟成期間中、職人は櫂（かい）を使って丁寧にもろみをかき混ぜ、発酵を促します。季節の移ろいとともにゆっくりと時間をかけて育まれるもろみは、まさに自然の恵みと職人の技が織りなす結晶。この手間ひまを惜しまない伝統製法こそが、本物の醤油の味を造り上げます。

一滴に込める、伝統と安心。未来へつなぐ本物の味

一年以上の歳月をかけてじっくりと熟成させたもろみは、布に包んで何層にも重ね、じっくりと圧力をかけて搾る「圧搾」の工程を経て、芳醇な生醤油（きじょうゆ）へと生まれ変わります。その後、風味を整え、殺菌するために「火入れ」を行い、最後に丁寧に「ろ過」をすることで、雑味のない澄んだ色の醤油がようやく完成します。私たちは、こうした伝統製法を守り続けるだけでなく、醤油が持つ歴史や地域性といった背景も大切にしています。年月を重ねて培った「伝統・技術」を礎に、お客様に「安心・安全」な本物の醤油をお届けすること。それが、明治から続く私たちの変わらぬ使命であり、未来へとつないでいくべき約束です。